こんにちは、川畑です。本日もありがとうございます。
経営数字ってみていても目がくらくらしてしましい、いったい何の役に立つのかしら?
と思ってしまう方も多くいると思います。
今日は「ゼロから始める経営数字の分析方法」ということで、頭の痛くなる単なる数字をどう扱えば良いのか?についてお話していきます。
この記事の対象者
- はじめて事業をする社長
- 会社を継いだが営業一筋だった2代目社長
- 分析の基本を知りたい人
決算書の簡単な見方を知りたい方はこちらをご覧ください。
経営数字とは?
経営数字とは、経営をしていく上で会社の状態を表す指標のことを指します。
車に乗るときはスピードメーターを見ますよね?
これと同じで、経営をするときのスピードメーターみたいなものが経営数字です。
具体的には、
- 現金がいくら手元にあるのか?
- 借入がいくら残ってるのか?
- 売上はいくら上がったのか?
- 利益はいくら出たのか?
こういったことに関する「数字」が全て経営数字です。
そして経営数字は、単なる数字と異なり「全てお金が動く」ことに特徴があります。
つまり机上の空論ではなく、目の前でお金が飛び交っている現実の出来事を数字として記録した物が「経営数字」なのです。
経営分析の基本中の基本
さて、経営数字に具体的にどのようなものがあるのかをお話しする前に大切なことがあります。
それは経営分析の基本についてです。
経営分析を行う上では、基本中の基本とも言うべき所作があります。
それが「比較」と「分解」です。
これを守らなければ経営分析は無意味です。
「比較・分解、比較・分解」100万回くらい繰り返してください。
基本1.比較する
ある月の経営会議で、営業担当者がこう報告しました。
「今月の売上は1億円でした。」
社長のあなたはどう答えますか?
・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・・
そう、何も答えられないのです。
「今月の売上は1億円でした!」への反応を強いてあげるなら「だからなに?」です。
ではこれならどうでしょう?
「今月の売上は1億円でした。前月比+1,000万円、前年同月比-100万円です。」
前月の単月売上よりも増えたこと、昨年の同じ月より売上が減ったことがわかります。
数字というのは単体ではただの数字です。
この様に、経営分析を行う場合には単月の数字にあまり意味はありません。
もちろん単月で利益が出ているのかだって大切です。
しかし利益が出ていたとして、その利益は多いのか少ないのか分からなければ経営判断が出来ませんよね!
では、次は何を何と比較するかについてお話していきます。
比較は大きく分けて2つあります。それは「時系列比較」と「同業他社比較」です。
時系列比較
時系列比較はその名の通り時系列で比較します。
要は過去の自社と比較するということです。
先程の売上の例の様に過去の成績と比較したり、数字の推移を見たりと言った方法があります。
過去からの売上をグラフにしたときに、右肩上がりになっていれば売上は増えていると言えます。
そして、昨年と比較して増えた(減った)要因について検討するのが時系列比較の入り口です。
具体的に増減について検討する方法は「分解」でお話しします。
同業他社分析
同業他社の状況と比較します。
中小企業やスモールビジネスは決算書が公開されていないケースが多いので、難しく思うかもしれません。
しかし、特定の会社の決算書は入手できなくても近い業種の平均を見ることは可能です。
TKCのBASTを使う
例えばTKCのBASTでは、TKC会員(税理士・会計士)の関与先企業の経営成績と財政状態を分析した資料です。
私はTKC会員ではありませんが、それなりの規模のデータで参考させてもらっています。
中小企業の経営指標はあまり世に出ることがないので、結構重宝しています。
要約版・速報版 | TKC経営指標(BAST) | TKCグループ
上場企業の決算書を使う
また、似た業種の上場企業と比較するのも手です。
上場企業は決算書が公開されていますので、各社のHPから閲覧可能です。
有価証券報告書に記載されていますが、どちらかというとIR資料などの方が見やすくまとまっているのでおすすめです。
ちなみにスケールが違うと比較できないのでは?という疑問がある方もいらっしゃるでしょう。
いいえ、大丈夫です。
確かに絶対的な金額規模での比較はできません。
ただし、同業他社の全体としての動きと自社を比較することは可能です。
例えば、同じ業種業界の上場企業の売上が拡大しているにもかかわらず、自社は停滞ないし減少しているのであれば市場シェアを取れていないor奪われていると考えられます。
自社が成長産業にいながら伸びていないのか、斜陽にも関わらず伸びているのか、そういったことは他社と比較してみなければわかりません。
基本2.分解する
経営数字の分析をする上で次に大切なことは「分解」です。
時系列や同業他社との比較の目的が、会社全体の流れの把握にあるのに対し、分解は把握した状態に対する詳細な対策を立てる上での道しるべになります。
売上を例に考えてみましょう。
売上とはどうやって作られるでしょうか?
そう、単価×販売数量です。
どんな業種業界においても、売上=単価×販売数量で求められます。
また、単価×販売数量も次のように分けられます。
売上
=単価×販売数量
=A商品の単価×販売数量+B商品の単価×販売数量
こんな具合です。
比較する数字も分解する
「比較する」のところ増減の分析についてお話しましたが、その内容です。
そもそも論として、全社の売上合計を比較することはあまり意味がありません。
確かに全社的な売上の推移の状況はわかりますが、その増減の理由は一向に掴めません。
そこで売上自体も分解します。
例えば事業部や商品ごとに切り分けます。
どの事業部が伸びていて、どの事業部が停滞しているのかが一目瞭然です。
そして、売上がアップした理由・ダウンした理由についてを検討していきます。
売上推移表作成のコツ
売上推移表の作成のコツは「年計表」で作成することです。
年計表とは、次のように作るグラフです。
今が2022年3月ですので、こうやって数字を集めます。
1.2020年4月~2021年3月の売上合計
2.2020年5月~2021年6月の売上合計
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
11.2021年2月~2021年1月の売上合計
12.2021年3月~2022年2月の売上合計
こうすることで、1カ月ずれの1年間の売上推移が把握できます。
単純な月次ごとの売上比較では、季節変動や特殊な要因の影響を受けるため比較しても実態がつかめません。
アイスクリーム屋さんの1月の売上と8月の売上を比較しても意味がないと言えばイメージしやすいでしょうか?
経営数字で遊んで終わらない
このように、経営数字を分析すると色々なことが見えてきます。
いろいろなことが見えるがゆえに、数字遊びに終始してしまい、本質的な経営の方がおろそかにならないように注意しなければなりません。
経営の数字に挙げってくるのは、過去の事実にすぎません。
何かの予兆が数値として現れたのであれば、その原因はお客様のもとに行かなければわかりません。
あくまで、予兆の察知と将来への戦略のための道具として分析を行い、手段の目的化が起きないよう注意してください!
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