こんにちは、公認会計士の川畑です。
本日もありがとうございます!
赤字経営が続いていると、苦しいと感じる社長さんも多くいらっしゃると思います。
今日は赤字で会社経営が苦しい時にすべき、3つの切り捨てについて考えていこうと思います。
日本の企業の2/3は赤字
令和2年度の「国税庁統計法人税表」によると、申告法人件数約295万件に対し、欠損、つまり赤字法人は約192万件でした。
実に2/3の企業が赤字なわけです。
日本の企業の大半が赤字ということになります。
とするのであれば、日本の社長の2/3は赤字で苦しんでいるわけです。
赤字会社の経営は苦しいもちろん赤字でも潰れるわけではありません。資金繰りが止まらなければ、会社は潰れることはないからです。
しかし、毎期の決算が赤字というのは息苦しいものがあります。
頑張って頑張って頑張って、なぜ赤字なのか、、、
どうしたら良いのか、毎日頭を悩ませる日々。
国が悪い、政治が悪い、ついついそう言いたくなってしまいますよね。
それくらい赤字が続く経営は苦しいものです。
毎期しっかり利益が出て、「税金高くてな」と言える方が気持が良いですよね。
赤字会社経営で苦しい時にすべき3つの切り捨て
【赤字で会社が苦しい時1】売上の切り捨て
まずは売上の切り捨てです。
いやいや、赤字なのに売上切り捨ててどうするんだ
そう思われそうです。
しかし、赤字で会社が苦しい時には大真面目にこれをやらなければなりません。
ただし、無作為に切り捨てるわけではありません。
しっかりとした基準に基づいて切り捨てます。
そのために必要なのがABC分析です。
得意先名 | 売上 | 売上累計 |
A社 | 1,000,000 | 1,000,000 |
B社 | 930,000 | 930,000 |
・・・・ | ・・・・ | ・・・・ |
X社 | 50,000 | 100,000,000 |
そして上位何社あるいは何商品で、どれだけの売上を占めているのかをチェックします。
パレートの法則に基づくと、通常は上位20%で売上の80%をカバーしているはずです。
そして95%を占めなくなる先には、「ここは伸びる!」と思える先を除き、営業も配送もいっさいを取りやめます。
年間の売上が5万くらいしかない、粗利は2万程度の先が見えてきたりします。
足繁く通っていたけど、それガソリン代だけで赤字じゃないの?みたいな事例がボロボロ出てくるわけです。
【赤字で会社が苦しい時2】経費の切り捨て
続いて経費の切り捨てです。
こちらはイメージがつきやすいかもしれません。
経費は3種類あります。
1つ目が仕入、2つ目が固定費、3つ目が人件費です。
①仕入の切り捨て
仕入は昔からの仕入れ先から、ずっと同じ値段で仕入れていることがあるかもしれません。
こう言う場合、実はその仕入れ先は新規にはもう少し安い値段で売っている可能性があります。
確認をして、可能であれば少し安くしてもらうなどの交渉をするのが良いです。
ただし同じものの仕入れ値を下げるのはOKですが、安価な代替品への切り替えは注意が必要です。
例えば飲食店や食品メーカであれば、材料の良し悪しが味に直結し、これを落とすと味が落ち、売上が落ちる可能性があります。
安い代替品に切り替える時は、商品の性質を考慮して、問題なければ切り替えにしましょう。
②固定費の切り捨て
固定費とは、仕入と人件費以外の全てのことを意味しています。
学術的には違ったりしますが、ひとまとめにしています。
会社の電気をこまめに消しましょうとか、備品をとにかく安いものに切り替えましょうみたいな切り捨てではありません。
大切ではありますが、苦労の割に効果が知れてるからです。
ずっと頑張り続けなければいけませんしね。
固定費の切り捨てですべきなのは、1回の苦労で継続的に効果があるものの見直しです。
例えばよくあるのが「お付き合いシリーズ」です。
- 付き合いで入った団体の会費
- 付き合いで入った保険
こういうのは全く行っていないとか、様々な理由で全く使われていません。
その会にいることで、自社の売上やブランド力向上に価値があるならやめるべきではありません。しかし、なんとなく付き合いで入って払っている会費はもったいない。
会費や保険の見直しだけど、数万円、時には数十万円経費が削れます。
しかも最初にちょっと頑張るだけで、あとはずっと同じ効果が続きます。
電気をこまめに、、、のような永久に続く苦労はありません。
③人件費の切り捨てはNG
ちなみに3つ目の人件費に手をつけるのはお勧めしません。
気軽にここに手をつけると、いっきにダメになります。
社員の動向に物申したくなる気持ちはわかります。
しかし、IT化が進んでもまだまだ人では重要です。
ここは本当にどうにもならなくなった時の最後の砦です。
【赤字で会社が苦しい時3】こだわりの切り捨て
ここまでお話してきた2つの切り捨てとは、少し毛色が異なります。
それが、こだわりの切り捨てです。
「こだわり」は財務的な数字の話というより、心理的な部分であるため、切り捨てようと思っても中々できません。
その理由は、そもそもこだわりは自分自身が「こうしたい!」という思いと密接に関わっており、不要と感じることが出来ない可能性が高いからです。
そこで、一口にこだわりは捨てようとというのではなく、形式的に切り捨ての判断していきましょう。
形式的な基準として、まずは良いこだわりと悪いこだわりに分けましょう。
良いこだわりは残し、悪いこだわりは切り捨てましょう。
良いこだわりと悪いこだわりの区別は、お客様の要望を満たしているか否かです。
お客様の要望を満たさないこだわりは、残念ながら捨てる必要があります。
ちなみにお客様の要望を満たしているかは、商品別のABC分析を見ればすぐにわかります。
肝入りで作ったのに全然売れていない、そんな気なかったのにやたらと売れている。
ABC分析をすると、そういうことが数字で見えてきます。
まずこれをやった上で、経営計画や資金繰りを考えていくというのが大切です。
編集後記
今日はとある会社の方と広告に関する打合せをしてきました。
さて、いよいよ明日からGWです。
中日は仕事をしようと思いますが、それ以外は久しぶりに少しゆっくり休もうと思っています。
分析などと言うと難しそうですが、得意先別と商品別に売上金額を大きい順に並べていき、累計額を書いていくだけです。