決算書を社員に見せたくない3つの理由と見せる価値

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こんにちは、公認会計士の川畑です。
本日もありがとうございます!

今日は、決算書を社員に見せる価値について考えてこうと思います。

決算書は社員にも見せてない、見せたくない

そういう社長さんが多いのが実際の所です。

川畑文秀

とは言え、決算書というものは社員には開示した方が良いかなというのが私の考えです。

「決算書見せたくない問題」で、社員に見せたくない3つの理由と決算書を社員に見える価値についてお話していきます。

決算書を社長が社員へ見せたくない3つの理由

さて、決算書を社員に見せるか見せないかという問題はあります。

その際に主に次の3つの理由で開示したくないという社長さんが多いです。

理由1.業績や役員報酬・給与を社員に知られたくない

やはり自社の業績はできることなら知られたくないというのは社長なら誰しも思うことはあります。

決算書とは企業の通信簿。

通信簿を人に見せたくないのと同じように、自分の会社の通信簿だって人に見せたくないわけです。

特に右肩上がりで調子が良いならともかく、このご時世、必ずしも業績が好調とは限りませんし。

決算書を社員に開示すると、役員報酬や従業員給与がいくらなのか見られるようになります。

役員報酬をいくら取っているか?を開示したくないというのはよくある理由です。

人数の少ない会社であればあるほど、個々の給与がなんとなく察しがつくようになってしまいますからね。

理由2.見せたところで理解できない(と思っている)

そもそも決算書を社員に見せても、せいぜい給与のところに目が行くくらいで、あまり理解できないだろうと思っているケースです。

見たって理解できないものをわざわざ見せて、自分たちが理解できる部分だけで批判されるのは嫌だ。

そう思うのはある意味自然な流れです。

もちろん、正しい見せ方を知っていれば辺に受け取られることなく業績を教えることは可能ではあります。

理由3.会社の業績が外部に漏れるのが心配

社員に見せることで、その数字が外部に漏れてしまうというのも決算書を見せたくない理由のひとつです。

ですが、よく考えてみるとそんなに気にする必要はないかもしれません。

資料には「社外秘」と記載すれば良いですし、そもそも大手企業は決算書を公開しています。

また、基本的にはオーナー社長であるため、買収工作を仕掛けられるということもありません。

個人的には、決算書を自社HPなどで公開している会社=しっかりしている会社というイメージがあるので、むしろプラスなんじゃないかなと思います。

決算書を社員に見せることの価値

さて、決算書を社員に見せる見せないという問題において、主な理由に書いた通り、基本的には「見せたくない」という社長さんの気持ちがありす。

私もどうしても嫌なら見せなくても良いと思います。

ただ、決算書を見せることの価値もあります。

価値1. 決算書は社員にとっても通信簿

決算書は社長自身の通信簿でもあり、社員にとっても通信簿的な側面があります。

戦略を立てているのは社長ですが、実際に動いているのは社員だからです。

自分たちの努力が、どのような形で数字になっているのか?というのは多少は気になるもの。

悪い結果なら悪い結果で、はっきりと数字で出れば「じゃあどうする?」という前向きな検討に繋がります。

価値2.自分の給与がどう出ているか、どうすれば増えるか?が伝わる

一般的に社員が気にしているのは自分の給与です。

それ以外の部分にはあまり興味がありません。

しかし、給与というものは何もしなくても自動で出てくるわけでわないわけですから、

正しい伝え方をすることで、自分たちの給与がどう作られているのか?

どうすれば増えるのか?

こういったことが認識して貰えるようになります。

しかし、それも具体的な決算書があってこそです。

売上が100増えると、粗利が80あって、そのうちの半分を社員に回せるから40はボーナスになります。

こんな風に決算書を見せることで、成果が出た場合の報酬を具体的な数字で示せるようになるわけです。

それには決算書の見方を知っておく必要がありますが・・・

価値3.間接部門の社員も利益貢献できることがわかる

一般的に、売上を上げてくる営業が一番偉いという風潮があります。

もちろんそれは否定しません。

しかし、経理、総務、人事といったバックオフィス業務があるからこそ営業はさらに専門の営業として戦えるわけです。

このような図を示すことで、間接部門の人員が関わることができる内容

  • 不要な設備の洗い出し
  • 使用頻度の低いサブスクの解約

こういった活動も利益に繋がり、自分達が貢献できるということがわかります。

価値4.決算書を見せると社員と同じ方向を向くことができる

決算書を社員に見せることで、社長と社員が同じ方向を向くことができるようになります。

社長は利益を出したい
社員は給料が欲しい

一見相反する欲求のように思えますが、結局の所、給料も利益も粗利の分配でしかありません。

と、いうことは給料を上げたければ

  • 粗利をあげる
  • 人件費以外の固定費を減らす

という方法になるわけですが、利益を増やす場合にもそのまんま

  • 粗利をあげる
  • 人件費以外の固定費を減らす

というものが当てはまるわけです。

そのためには具体的な数字を開示して、お互いにどうすれば良いのか?

これを考えられる状況を作る必要があるわけです。

【前提】全ての会社は決算書を開示しないといけない

ちなみに・・・

実は、株式会社は会社法という法律に基づいて、決算書を年に一度公開する必要があります。

決算公告とは、次のいずれかの方法によって決算内容を開示することです。

  • 官報への掲載
  • 日刊新聞への掲載
  • 電子公告

ということで、決算書を社員に見せたい見せたくないという議論の前に、会社というものは決算を公に開示しなきゃいけないわけです。

ちなみに中小企業の場合、貸借対照表だけでOKということになっています。

株式会社は、法務省令で定めるところにより、定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表(大会社にあっては、貸借対照表及び損益計算書)を公告しなければならない。

会社法440条第1項

と、まあ「法律で決まってるよ」と言って語ってみましたが、あなたの会社がそうであるように、多くの中小企業は決算公告をしていません。

川畑文秀

そもそも「公告義務があることを知らない」というのが一番大きな理由です。

また、義務があったところで、出来れば開示したくないわけですし、公告しなくても罰せられることはほとんどありません。

そういった背景もあり、決算書は公告しない会社が大半です。

編集後記

今日は驚くほど暑い一日でした。

息子を9時前に公園へ連れて行ったのですが、「暑い、疲れた、今何時だろう」と時計を見たら9時45分。

さすがに絶望しましたね。

1時間半くらいは遊ばせた気でいましたから(笑)

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ABOUT US
川畑文秀
公認会計士に大学在学中に合格し、監査法人に6年弱勤務していました。 現在は監査法人を退職し、公認会計士・税理士兼経営コンサルタントとして経営に役立つ情報を発信中。社長業は孤独な仕事です。私はそのパートナーとなるべく活動しています。趣味はゴルフで、ビールとワインが大好きです。