こんにちは、公認会計士・税理士の川畑です。
本日もありがとうございます!
内部統制ってご存知ですか?
- 内部統制・内部統制とよく聞くけど、よくわからない
- 大企業だけの話でしょ?
こういうイメージの社長さんは多くいらっしゃると思います。
今日は、そんなとっつきにくい内部統制について、公認会計士である私ができるだけわかりやすく解説していこうと思います。
傘忘れ対策で学ぶ内部統制!会計士がわかりやすく解説
そもそも内部統制はなぜ必要か?
内部統制がなぜ必要かというと、一言で言えばミスをなくすためです。
内部統制と言われると、なんとなく面倒くさい話の様に感じるかもしれません。
特にチェックリストや経理周りの文脈で語られることが多いのが原因です。
しかし、お客様に高品質な製品・サービスを提供するためにも、内部統制は大きく活躍します。
必ずしも経理だけではないのです。
クレームを減らし、お客様に満足いただける商品・サービスが提供出来るようになるためにも、内部統制は大切です。
たとえのお話の前に、ちょっと勉強的な内容になります。
内部統制とは何か?
内部統制は5つの目的のためにあります。
- 業務の有効性・効率性
- 確保財務報告の信頼性
- 確保法令遵守
- 資産の保全
まあ堅苦しい言い方なので、
- ミスを減らして手戻りの無駄をなくす
- 決算書の数字を間違えない
- コンプラ違反がないか?
- 会社資産を大切にする
としておきます。
そして、ざくっと言うと
- 会社全体レベルの内部統制
- 業務レベルの内部統制
とレベル感が分かれています。
会社全体レベルの内部統制
会社全体レベルの統制は業務レベルの内部統制より上位の考え方です。
簡単に言うと「いい加減にやる風潮が社内にないよね?」というようなもの。
ちゃんとやらないとダメだよね〜という社風みたいなもんだと思ってください。
例えば社長が毎日「お前ら、不正してでも売上上げてこいや」なんて言っている会社は、根腐れを起こしてるのでどうにもならないですよね。
業務レベルの内部統制
業務レベルの内部統制とは、実際の業務に紐づくレベルの統制です。
会社全体レベルの統制が、「ちゃんとやらないとダメだよね〜」という社風みたいなもんとお話しました。
これに対して業務レベルの統制は「ミスとか不正のチェックをする」こういったより具体的なものです。
傘忘れ対策で学ぶ内部統制
さて、ここまで少し内部統制の前提となる知識をお話してきました。
ここからは内部統制のうち、業務レベルの統制について「傘忘れ対策で学ぶ」と称してお話していきます。
全社レベルの基本的な考え方は「社風」なので、「不正は良くないよ」という感覚さえあればそんなに難しい話じゃありません。
逆に、業務レベルの統制は
- 具体的にどんなミスが想定されるか?
- これに対してどんな内部統制を用意するか?
みたいなちょっとテクニック論的な話になってしまうので、例え話で簡単に理解できるようにしてみました。
傘を忘れるというリスク
電車などに傘を忘れてしまうことってよくありますよね。
雨が降っていたのに上がってつい・・・
ビニール傘ならまだしも、お気に入りの傘だとかなりショックは大きいと思います。
仮に忘れ物として回収出来たとしても、いちいち取りに行ったりする手間がかかってしまいますからね。
そういう意味で「傘を忘れる」というミスが起きるリスクを、内部統制的な考え方でどう防いでいくのか?
これについて考えていきます。
リスク対策①:忘れないように注意する
多くの人がまず最初にやるのが、傘を忘れないように注意するというもの。
自分自身の記憶と精神力に頼る「ごく一般的」な方法です。
しかしこの対策には欠点があります。
自分がうっかりすると、そのまま傘を忘れてしまうというものです。
ほとんどの人は忘れないように注意するという統制単体で傘忘れを防ごうとします。
結果的に70%くらいは忘れずに済みますが、30%くらいの確率で忘れます。
「忘れないようにする事を忘れる」というリスクと抱き合わせの対策です。
リスク対策②:スマホのリマインダー機能
次のリスク対策として、スマホのリマインダー機能があります。
今や誰もがスマホを持ち歩いていますし、ほぼ100%見ます。これを活用した方法です。
リマインダー機能を活用することで、リスク対策①「忘れないようにする事を忘れる」というリスクを補うことができます。
一方で、「リマインダーをかけ忘れる」というリスクも同時に孕んでいます。
リスク対策③:チェーンで鞄とつなぐ
3つ目の対策としてチェーンでつなぐというものがあります。
- 忘れないように注意する
- リマインダーをかける
こういった対策は、本人の気持ち次第で忘れられてしまいます。
しかし、傘と鞄をチェーンで繋いで置いた場合はどうでしょう?
もし忘れて出ようもしても、鞄に傘がくっついてきます。
ただし、チェーンをつけ忘れたり、そもそも鞄も忘れた場合には傘を忘れることになります。
内部統制は組み合わせると効果大
さて、ここまで読んでいただいたあなたであれば、内部統制は組み合わせると効果大であるということがわかると思います。
- 忘れないように注意する
- リマインダーをかける
- チェーンで鞄をつなぐ
これらにはそれぞれ
- 忘れないようにする事を忘れる
- リマインダーをかけ忘れる
- チェーンを繋ぎ忘れる(鞄を忘れる)
このような弱点がありました。
しかし、統制を単体で使うのではなく、複数を組み合わせることでお互いの弱点がある程度カバーされるわけです。
中小企業でも内部統制はいるの?
結論、いります。
内部統制というと小難しい話になりがちですし、手間のかかるもののように思えます。
しかし、実際には傘の例のように「どうやったらミスを防げるかな?」というアイデアを適用するだけのことです。
そう考えると、割と簡単に思えてくるのではないでしょうか?
ただし注意点があります。
ミスを完全にゼロにすることを目標にしてはいけません。
完全にゼロにすることは現実的ではないからです。
致命的なミスを避ける以外は、ある程度はミスの発生を許容することが必要です。
発生するミスのレベルに対し、どの程度効果的な統制を用意できるか?
こういったコスパの観点を入れていきましょう。
次々とチェック項目が増えていくばかりで、ドンドン非効率になっちゃうケースがよくあります(笑)
編集後記
今日はよく行くカフェで、年長さんか小学校低学年くらいの女の子が、私の娘を見て「赤ちゃんかわいー!赤ちゃんかわいー」と大騒ぎしてくれました。
店員さんたちも「かわいいですね~」ととても良く面倒を見てくれて、温かい空間だなぁと良い気分になりました。
子育て環境って大変なイメージですが、案外子供のことをかわいいと思ってくれる大人(子供)もたくさんいて、なんとかなるなと実感する今日このごろです。
ネットの声みたいな目に見えない情報に翻弄されすぎるのは、精神衛生上NGだなと・・・
別に難しい話でもなければ、中小企業だから気にしなくて良いというものでもないんですよ!